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先日足を運んだダライ・ラマ14世法王の講演の話。

主催者側の仕切りが下手だ、居眠りや中座をする観客が多い等、Twitter上では今ひとつ評判が宜しくなかった11月1日(日)の公演@両国国技館だけど、ところがどっこい、俺は結構楽しめたんだよね。何しろ居眠りも中座も全くせず、ただひたすらノート取り続けたくらいだもん。

せっかくなんで、今宵はザッとその内容の要点を掻い摘んで記してみようかと。
以下、各登壇者が提議した問題意識と、それに対する法王のご意見。

尚、モデレーターの尾中謙文氏(青山プランニングアーツ代表/認知科学者)の合間合間のコメントは割愛ってことで。

竹村真一
(文化人類学者/京都造形芸術大学教授/Earth Literacy Program代表)

科学の進歩によって、それまでありふれたことと思われていた事象のメカニズムが解明され、それがいかに「ありがたい」、すなわち"rare"なことであるか分かるようになってきた。そしてそのことによって、地球がいかに貴重な存在であるかを人類は知ることができ、慈悲や謙虚さといった心のありようをも教えられる。

地球にとって人類は望ましい存在ではない、地球の癌であるという考え方もあるが、そもそも自然というものも地球上の様々な生命体の活動によって作り出されている。科学を通じて人類が地球に対する謙虚さを感じることができれば、地球における人類の位置付けも癌などではなく共に未来を作り出す共同制作者となるのではないか。そのような自己認識を持てることが人類の希望なのではないか。

(途中、地球上の気温の上昇や二酸化炭素、窒素酸化物などの排出量をシミュレートして可視化した映像を流してた。あの映像、もっとじっくり見たかったなぁ...。)


ダライ・ラマ法王

我々が今のところ太陽や月に行って住み着くことができない以上、地球は我々が生きることのできる唯一の場所である。また、人類も自然の一部である。

例えば環境問題は、地球全体の未来に関わる問題であり、国益を越えて世界全体のために行動をすべきである。国益を優先させるような行為は、不幸を招くだろう。そうならないためにも、教育面での取り組みは重要である。

地球を守り共に未来を作り出すのは、知性を持った生命体である我々人類の道義的な責任である。我々人類は地球上の様々な問題を作り出しはするが、それを解決する術を持っているのもまた我々人類なのである。


星野克美
(多摩大学大学院教授/日本技術者連盟会長/グローバル・マネジメント・アカデミー会長)

現在の地球と人類との関係をみれば、これ以上人口は増やすべきではないし、また物質的な生産は抑制されるべきである。しかしながらそのような輿論は起きていない。
我々が生きていけるのはこの地球だけであり、またこの地球には限界がある。恐らく、人類による物質的な生産とそれに伴う環境への負荷はピークを過ぎつつあるだろうが、ピークアウトしたその先の生き方を我々人類が模索する時が来ているのではないか。

40年近く前に、経済学者のE.F.シューマッハーはその著書『スモール イズ ビューティフル』の中で仏教経済学という考え方を先験的に提示している。それは、過度の経済的成長を避け、小さい中にも幸せを感じ、生命を慈しみ、必要以上に持つことも使うこともしないという考え方に基づいている。今こそその仏教経済学に基づいた経済活動に、まずは先進国から、そして人類全体が移行するべきである。

自然の破壊は精神の破壊につながる。自然との接触によって人間は幸せを感じ、他の生き物と感性を共有することができる。そのような機会を阻む形で進む都市計画には大きな問題があると考える。自然は人間の知恵で守らねばならない。


ダライ・ラマ法王

先進国がその過剰なライフスタイルを抑えるという意味では、経済が縮小方向に向うのは適切である。一方で、貧困国においてはやはり富を増やす必要があると考える。

人口問題は確かに重要だ。その点について言えば、僧侶や尼僧を増やして出生を抑えるのが、仏法を広める手助けにもなるし良い対処法だ(笑)。

"スモール・イズ・ビューティフル"という価値観は仏教に限らず、例えばキリスト教の僧院での生活が質素であることからも、多くの宗教に共通のものであると思う。そのような伝統が守られていないことの方がむしろ問題なのではないか。

全ての生命を尊敬し慈しむという考え方はインドの伝統的な非暴力思想の根幹をなしている。日本の神道にも同様の考え方があるのではないか。それが現代では、文明の力によって自然を制御するという考えにシフトしてしまっている。
例えばお百姓さんと都市に住む億万長者とを対象に意識調査をしてみてはどうか。きっとお百姓さんの方が平和な心構えを持っていると思うのだが。


清水博
(東京大学名誉教授/NPO法人「場の研究所」所長/薬学博士)

過去を全否定するのではなくその領域を広げるという形で、科学の分野におけるパラダイム・シフトの時が来たと感じている。これまで科学は客観的な事象のみをその分析対象としてきたが、これからは主観的な現象についても研究を進める必要がある。具体的には、我々人間が何故「生きている」かではなくどのようにして「生きていく」か、ひいては我々とは一体何であるのかといったことを、政治や民族、宗教や哲学ではなく、科学の領域で考えることである。

何故近代生物学は競争や攻撃性のみを生物の進化の原理としているのか。それはダーウィンが「生きている」ことのみに着目して進化論を構築したからに他ならない。しかしながら、我々が「生きていく」上で必要な食物のほとんどは他の生き物であり、食物連鎖の中で他の生き物が自らの命を贈与する、また本来的には人間も含めて贈与し合う、そのような大きな循環の中に我々はいるのであり、他の生命の存在なしでは我々は「生きていけない」のである。そのような意味で、他の生命を含めた地球全体の問題も、すなわち我々自身がどう「生きていく」か、我々が一体何であるのかという問題に帰着する。


ダライ・ラマ法王

我々人間は意識というものを持っている。仏教的な考え方では、苦痛も喜びも意識が作り出すものである。従来の科学は外的なこと、フィジカルなことに特化して進歩を遂げてきたが、主にメディカル・サイエンスの分野などを発端にしてメンタルなことの重要度が増してきたように思う。
今後は、人間の身体・脳・精神の一体化した総合的な研究が必要となってくるのではないか。そして、全ての科学的発見は人類の利益となるべきである。

(「生きている」と「生きていく」の違いに終始こだわり続けた清水氏の言葉は、通訳の不手際のせいか法王には正しく伝わっていなかったような気がする。そのあたりもこの講演の事後評価の悪さの一因かも。)


田坂広志
(多摩大学大学院教授/シンクタンク・ソフィアバンク代表/社会起業家フォーラム代表)

些細なきっかけで人間は宗教的な感覚に入ってゆくことができるし、悟りというものは人とのかかわりの中でこそ実現するものだと思う。
我々の心がどこからやってきたのか。それはインフレーション、或いはビッグバンを発端に展開してきたこの宇宙の中で生まれたものであり、宇宙そのものが奇跡であると言える。その宇宙の奇跡に対する思い("センス・オブ・ワンダー")こそが、宗教的な感覚に他ならない。

仏教と現代の心理学が融合することによって、"私とは何か"という人類の根源的な問いに近付くことができる。ひと言で"私"と呼ばれる存在の中には、無意識も含めて何人もの"私"がいる。
ユングが提唱した集団的無意識の観点に立てば、環境破壊も犯罪もその行為の主体によってのみ起こされるのではないと言えるだろう。
メディアによって発せられる、殺人や戦争、テロリズムといったネガティブな出来事についての情報によって、悪い影響が集団的無意識に蓄積され続けているのではないか。

この世界が今、危機的な状況にあるのは間違いない。しかし、次世代に残すべきは希望につながるようなメッセージであるべきだ。この世界は様々なトラブルを生み出す一方、自らを癒しながら進化を続けているのではないか。例えばインターネット上におけるボランタリー経済の可能性のように、善意や慈悲を通じて危機を乗り越え、より良い状況にしようとする意志の萌芽が見えつつあるのもまた事実なのである。


ダライ・ラマ法王

仏陀自身が盲目的な信仰を否定していることからも、仏教が科学的なものであると言うことができる。確かに現代科学から仏教が学ぶべき点は多いが、一方でインド哲学に比べれば現代心理学などは幼稚園のようなものであり、仏教やインド哲学から現代心理学が学ぶべき点もまた多い。実際に、チベット仏教の僧院と米国の大学や研究機関との共同研究という形で、心や脳に関する研究の取り組みが進められている。

ただ、西洋の科学者の多くは非仏教徒であるため、こちらが仏教の独自性を強調し過ぎると若干退いてしまう傾向がある。その点、日本は先進国でありながら仏教国でもあるわけで、実際日本の僧侶の方々と宇宙論、脳科学、量子力学、心理学などについて話をしたこともあった。今回このような対話の場を日本の科学者の皆さんと持てたことは非常に喜ばしいことであり、今後更なる発展に期待したい。

脳科学の分野では、脳には全てを統制するような中央機関があるわけではなく、バラバラな各部分が協働することで機能すると言われている。このような考え方は、魂の存在を肯定するキリスト教などよりもむしろ仏教のとの親和性が高いだろう。
メディアが無意識の領域に与える影響、特に子供達の心の成長への影響には見過ごせないものがあるように思う。

20世紀前半の国民国家においては、戦争の当事国の国民はほとんどが自国を支持していたのではないか。しかしながら先般の米国によるイラク進攻の際には、米国やその同盟国を含む多くの国の人達がその戦争に反対の意を表明した。このような出来事からも、私は人類の未来に希望の兆候は充分あると楽観している。20世紀の我々人類の自己中心的な振る舞いによってどのような弊害があったかということを、教育を通じて的確に次世代に伝えていく必要がある。


エドワード鈴木
(建築家;観客席より)

どのようにすれば最も効率的に愛や思いやりのようなポジティブな感情を世界に広めることができるとお考えか。


ダライ・ラマ法王

まず、愛や慈悲といった感情を培うポテンシャルは仏教に限らず全ての宗教が兼ね備えていると思う。しかしながら、何の宗教も信じない人達も同様に大切な存在であることは間違いない。我々は世俗主義に徹し、宗教を越えて思いやりの心を促進すべきである。

どうやって生きていくか、という話があったが、それは嫉妬や欲望に煩わされることなくいかに幸せを求めるか、ということなのだと思う。

教育であるとか、或いは脳科学的な研究を通じて愛や思いやりといった感情を広めることは全人類の究極的な目的であり、そしてその実現は充分可能なことであると私は考える。

(他の観客席からの感想や質疑は割愛。)


...とまぁこんな感じ。流石に全部で4時間ぐらいだったんでね、ザッとって言ってもこの分量だ。

似たような話が幾つか繰り返されてたし、科学者達の提言に対して法王は基本的に追認するという流れに終始してたような気も正直した。でもまぁ、法王も仰ってたように、日本でこのような対話がなされたということ自体は、問題点が浮き彫りになったことなんかも含めてとっかかりとしては充分有意義だったんじゃないかな。

もしまたこのような対話型の講演を開催するのであれば、登壇者はせいぜい2名までに抑え、また議題も具体的なテーマ(例えば宇宙論とか脳科学とか)に絞って、そして事前にそれだけで2時間スペシャルの映像コンテンツができるくらい充分な議論をダラムサラで重ねた上で生講演に挑む、って展開が望ましい。で、2時間スペシャルはネットで配信してプロモーションに役立ててもいいし、いっそ生講演も前半はその映像で済ませちゃう、そして休憩を挟んで後半はいよいよ生で、という構成なんかどうだろ?

色々と問題点はあったけど、そのおかげでいらんところまでツラツラと考えが広がった、そんな講演でござんした。

(青)

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青空トランプ

Author:青空トランプ
青空トランプ:夫婦ユニット。サブメンバーに、長女コロ(中1)と長男ぐわー(小5)がいます。
そんな青空トランプを、20の質問で紹介します。

【青空☆太郎】

出身地:宇宙
職業:世界を股に挟むえせサラリーマン
趣味:最近は主に東欧の大衆音楽、例えばロマ(ジプシー)系やクレズマーの辺り
特技:誰に対してもあつかましく振舞う
好きな食べ物:カレーかラーメンか迷ってるフリをしつつ本当に好きなのは握り寿司
好きな映画:ここ最近なら間違いなく『先祖になる』だね
尊敬する人:タモリ(『ブラタモリ』復活希望)
抱きたい人:宮崎あおいちゃん(せっかく離婚したんだから俺んとこに嫁に来なさい)
神:JB、ジミヘン、コルトレーン(このチョイスに迷い無し)
永住したい場所:東北か東欧か東南アジア
1ヶ月休みがあったら:東北でボランティア&観光(まだまだ行き足りない)
3億円当たったら:1億は寄付して、残ったカネで防音設備の整ったスタジオ付きの家を建てて楽器を買いまくるね
明日死ぬとしたら:慌てて般若心経を覚える
今一番興味があるのは:クレズマーとチンドンの関係性
子供以外の宝とは:あごひげともみあげ
自分を動物に例えたら:インドサイ
相方のいいところ:他人にでも感情移入できるところ
相方の悪いところ:他人にでも感情移入しがちなところ
相方を料理に例えたら:火鍋と砂鍋が半々のやつ(仕切りは陰陽風)
世界に向けてメッセージを!:打倒風評被害!


【花札(仮)すずき】

出身地:長野県長野市
職業:主婦業を全力で。
趣味:下ネタ。
特技:落ち込むこと。
好きな食べ物:友人の旦那が作るダシ巻き卵。こないだ久々にありついた♡甘さと出汁とフワフワ具合。ケーキかよ!?安定の旨さ。嫁への愛を感じたわー。
好きな映画:『クンドゥン』『JSA』
尊敬する人:もちろんダライラマ14世。すごいオジサマですよ、この人は。
抱かれたい人:吉野寿様。せめてデートできるなら、一緒にダイアログ・イン・ザ・ダークとか行って、吊り橋効果狙いたい。
神:小林賢太郎。神と書いてけんたろうと読む。
永住したい場所:シェムリアップ、ウブドゥ、チェンマイ
1ヶ月休みがあったら:タイのビーチでぐだぐだしたい。
3億円当たったら:半分寄附、半分貯金して老後に旅しまくる。
明日死ぬとしたら:家族と美味しいもの食べて過ごします(;_:)なんか泣けてきた…
今一番興味があるのは:TED。おっさんテディベアじゃなくて、プレゼンの方のね。
子供以外の宝とは:ラーメンズDVD&文庫本コレクション。
ラーメンズ好きな女はうざい?けっ知らねー。
自分を動物に例えたら:スナフキン亜種。おさびしやま~に~♪
相方のいいところ:博識。理論的。私の支離滅裂な話をよく聞いてくれるという意味で、ガマン強いところ。
相方の悪いところ:ブログ、この半年で1個くらいしかあげてませんよ。どうしました?
相方を料理に例えたら:満漢全席。うんちく多そうだ。
世界に向けてメッセージを!:最良の母親とは、まあまあの母親である。〜児童精神科医 ドナルド・ウィニコット〜

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